有機結晶を完全に理解したい
私たちの身の回りには有機物で溢れている。
プラスチックやゴムなどの有機高分子は工業製品として最も身の回りにあふれた物質だ。
テレビやスマホの画面は有機物の液晶が使われている。
ガソリンや都市ガスなどのエネルギーの燃料も有機物である。
そして、私たちの体こそ有機物の集合体である。
私たちの目は有機光センサーであり、耳は有機音響センサーであり、鼻は有機匂いセンサーである。
手足の運動はタンパク質の立体構造の変化によって動作する有機アクチュエーターによって制御される。
つまり、有機物の機能を知ることは私たち自身を知ることでもある。
しかし、私たち自身や身の回りの有機物をそのまま理解することは困難である。
我々の身の回りの有機物には、さまざまな分子が混在しており、人間が理解するにはあまりにも複雑である。
そこで、化学では有用な有機物を単離するのである。
単離された有機物からはさまざまなことがわかる。
しかし、ただ単離しただけでは、いろんな向きのいろんな立体配座の分子が混ざっているだろう。
有機物中の分子の形や向きや並び方もその特性に大きく影響する。
そこで、更なる理解のために、化学者は分子をきれいにゆっくり並べて、結晶を作るのである。
有機結晶は、有機分子が三次元に周期的に並んだ固体である。
有機結晶の有用な点として、結晶構造解析により分子を直接見ることができる。
有機結晶は、私たちの身の回りの有機物に比べて遥かに単純であり、かつ、有機物の性質を理解するのに有用な系である。
そしておそらく、複雑な我々の世界において、数少ない完全に理解できるかもしれない系である。
そこで、このブログでは、烏滸がましくも、"有機結晶を完全に理解する"ことを目標にし、
有機結晶に関係する諸分野のまとめを行う。
有機結晶の完全理解への道筋
有機結晶の完全理解への道筋を示す。つまり、このブログでは以下に示す内容を扱う。
基礎
1)分子間相互作用
2)対称性
3)相転移
調製
1)結晶成長
2)結晶調整法
測定
1)光学顕微鏡
2)結晶構造解析
物性
1)電気物性
2)熱的物性
3)力学的物性
4)光学的物性
5)その他の物性
データベースと理論計算
1)結晶のデータベース
2)結晶構造予測
3)マテリアルインフォマティクス
立てた目標は無謀であり、ここに並べた内容も膨大である。 また、これも有機結晶に関連する一部分であり、可能な限り追加や改定を行いたい。 まとめていくのも、ここに書かれた順番ではなくできるところから行いたい。
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